そのイヤホンを外させたい

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ブログはタブラ・ラサ

文学

戦国武将的価値観を乗り越える/花田清輝『鳥獣戯話』

今日は、花田清輝『鳥獣戯話』。鳥獣戯話・小説平家 (講談社文芸文庫)作者: 花田清輝出版社/メーカー: 講談社発売日: 1988/10/03メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (7件) を見る 評論家としてのイメージが強い花田清輝だが、1960年代に入っ…

上田秋成『雨月物語』の感想

上田秋成『雨月物語』を、後藤明生の現代語訳で読んだ。雨月物語 (学研M文庫)作者: 後藤明生出版社/メーカー: 学習研究社発売日: 2002/07メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る 子供の頃、実家の祖母が亡くなったすぐ後に生前から…

『源氏物語』を読む2〈澪標〉~〈藤のうら葉〉

与謝野晶子の源氏物語〈中〉六条院の四季 (角川ソフィア文庫)作者: 与謝野晶子出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2008/04/01メディア: 文庫 クリック: 6回この商品を含むブログ (3件) を見る 小説家の角田光代さんによる新訳が刊行されたり、27時間テ…

蛇の出す刺身は食べる気にならない/川上弘美『蛇を踏む』

蛇を踏む (文春文庫)作者: 川上弘美出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1999/08/10メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 17回この商品を含むブログ (136件) を見る 第115回芥川賞を受賞した作品です。 僕は作者の川上弘美さんに個人的に恩がある。 高校生の時、…

虚妄としてのアメリカ/柴田元幸『アメリカ文学のレッスン』

時間を見つけて英、米の小説を読んでいきたいなぁと考えています。新しい作品に挑戦してみたり、お気に入りの作品を再読してみたり。 今回はその前哨戦として、柴田元幸さんによる『アメリカ文学のレッスン』を読んだ感想です。アメリカ文学のレッスン (講談…

現代小説家はそれぞれがゲリラ戦を展開している

少し前の話になるが、『文藝2017年秋号』上にて「現代文学地図2000→2020」という特集が組まれていた。文芸 2017年 08 月号 [雑誌]出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2017/07/07メディア: 雑誌この商品を含むブログ (2件) を見る これは、9…

【感想】第157回芥川賞受賞『影裏』

芥川賞を取った沼田真佑『影裏』を読んだので感想。影裏 第157回芥川賞受賞作者: 沼田真佑出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017/07/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 受賞会見での「ジーンズを1本しか持ってないのにベストジーニスト賞をもら…

作品タイトルに氾濫する「君」。ライトノベル、ライト文芸を席巻するロマン主義の波。

2016年に大ヒットした新海誠監督『君の名は。』のDVD&ブルーレイの発売が近いらしく、書店などで宣伝広告を見かける。 僕はまだ本作を観ていない。新海誠作品はこれまで逃すことなくほとんど観てきたのに、本作についてはそのあまりの人気ぶりに尻込みしてし…

剣という病に憑かれた二人の男を描く爽快作/藤沢周『武曲』

武曲 (文春文庫)作者: 藤沢周出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/03/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る 「諸手突きで自らの中心を貫いてみろッ。殺せッ」 p7 アルコール依存症で失職の末、警備員の仕事をしながら地元の高校の剣道部コ…

小さな悪を滅すること/『ゴブリンスレイヤー』から読み取る時代の空気感

彼は「ゴブリン退治は人気がない」と、言葉少なに教えてくれた。 農村の依頼だから報酬が安く、新人向けだから熟練者は選ばない。 (p77より引用) 蝸牛くも『ゴブリンスレイヤー』を読んだ。 ゴブリンスレイヤー (GA文庫)作者: 蝸牛くも,神奈月昇出版社/メー…

『源氏物語』を読む1〈桐壺〉〜〈明石〉

紫式部『源氏物語』の感想を書いていきたい。 気忙しい日常の中で生まれるぼんやりとした諦念や寂しさにそっと並走してくれるような長い小説を読みたいと考えたら、自然と本作が頭に浮かんできた。通読するなら今だ。 高校時代の古典の授業などで部分的には…

ベッドはただ寝るだけの場所なんかじゃない。/シルヴィア・プラス『おやすみ、おやすみ』

子供の頃、ベッドは小さな秘密基地のようなものだった。 今日は珍しく、好きな絵本など紹介してみる。 本のタイトルは、『おやすみ、おやすみ』。おやすみ、おやすみ (詩人が贈る絵本)作者: シルヴィアプラス,クウェンティンブレイク,Sylvia Plath,Quentin B…

「海」は異質な何かを運んでくる。/ジョゼフ・コンラッド『エイミー・フォスター』

前回の『闇の奥』に続き、コンラッドの短編作品を読んでいた。コンラッド短篇集 (岩波文庫)作者: コンラッド,Joseph Conrad,中島賢二出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/09/16メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 91回この商品を含むブログ (12件) を見る…

虚無のゆくえ/ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』

闇の奥 (岩波文庫 赤 248-1)作者: コンラッド,中野好夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1958/01/25メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 39回この商品を含むブログ (57件) を見る 19世紀末、貿易会社勤務の水夫マーロウは、派遣されたアフリカ奥地の出張所…

【キーラ・ナイトレイ出演作】文学作品が原作の映画4選

学生時代は時間がありあまるほどあり、映画を1日に3本鑑賞することも決して珍しくありませんでした。 でも、社会人になってプライベートの時間が限定されると、今では月に5本鑑賞できれば贅沢と言えるくらい映画との距離が遠ざかっています。 それでも、…

ストロングセンスオブヒューマーのある小説家/ジェーン・オースティン『自負と偏見』

自負と偏見 (新潮文庫)作者: J.オースティン,Jane Austen,中野好夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1997/08/28メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 48回この商品を含むブログ (60件) を見る ジェーン・オースティンの作品を好んで読む男性は多くはないだろう…

現役作家による贅沢な世界文学講義/池澤夏樹『世界文学を読みほどく』

池澤夏樹『世界文学を読みほどく』が、めちゃくちゃ面白かったので感想を書く。 世界文学を読みほどく (新潮選書)作者: 池澤夏樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/01/15メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 62回この商品を含むブログ (55件) を見る 本…

【第156回芥川賞受賞】ピンぼけした記憶の先にある等身大の青春/山下澄人『しんせかい』

しんせかい作者: 山下澄人出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/10/31メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 第156回芥川賞受賞作、山下澄人『しんせかい』を読んだ。前回受賞の村田沙耶香『コンビ二人間』は純文とは思えないくらいリーダビリティの高…

甘美なる歌声は邪魔しない。/鹿島茂『「悪知恵」のすすめ』

こんにちは山中です。トランプ大統領による外国人入国制限のニュースがメディアを騒がせていますね。 悪い意味で期待を裏切らないというか、今回の出来事をきっかけにこの先ますます世界情勢は泥沼化していくでしょう。 今回の話題含め、外交問題に関する記…

言葉の短剣。ラ・ロシュフコー公爵の黒光りした箴言から世間を学ぶ。

16世紀~18世紀のフランスにはモラリストと呼ばれる文学者が登場し、人間の生き方についての考察を自由な文章形式でまとめました。 そんなモラリストの中に、ラ・ロシュフコー公爵がいます。自分は彼の『箴言集』が好きです。なぜなら、彼の箴言はとても的を…

再読『兵士の故郷』

ヘミングウェイの短編小説に『兵士の故郷』という作品がある。 主人公のクレブスは、第二次世界大戦に従軍して二年後に故郷の町に帰ってきた。他の兵士たちよりも帰還の遅れた彼に対する町の住人たちの歓迎は一切なかった。 戦地での体験をクレブスがみんな…