そのイヤホンを外させたい

著者の人間性に共感できる哲学入門書ー原田まりる『私の体を鞭打つ言葉』(サンマーク出版)

私の体を鞭打つ言葉

私の体を鞭打つ言葉



書店で何となく気になったので買って読んでみた。


中身のある良書である。
レースクイーン、元アイドル、という経歴を見て書き手としてのレベルをこっちで勝手に設定して甘くみていたのだが、一読してみて非常に精進している人だなぁと感心した。


女性でしかも美人なのに、ここまで自分の中で哲学を消化できるのはすごい(←決して美人をバカにしているわけではない)。難しい概念を噛み砕いて、素人に分かりやすく説明するのもとても上手で、全体を通して著者の人間性とサービス精神に好感が持てた。


自分語りの中に哲学の知識を織り交ぜていくスタイルは、ちょっと間違うとナルシズムに傾いてしまうのでバランスをとるのが難しいと思うのだが、それも適度に抑えられていて、若い女性の書き手特有の騒がしさもそれほど感じられない。真面目で良い人だ。


これが処女作ということで、まだ彼女自身の哲学は前面に出てきていないように見える。だからこそ、次に出す本が大事かもしれない。楽しみだ。