そのイヤホンを外させたい

そのイヤホンを外させたい

ブログはタブラ・ラサ

ストレス少なめの書店との距離感覚

月に大体10冊前後本を読む。多くも少なくもない平凡な数だ。


以前はAmazonで本を買ったりもしていのだけど、ポチってしまった後でよく考えてみると別にいらなかったんじゃないかと後悔することが多々あったので、今は億劫でも書店まで足を運び直接自分の手に取って本を選ぶようにしている。


その結果、膨大な数の中から本当に自分に関わりがあると思える本を探すのが前よりうまくなった気がする。少なくとも、いっときのブームや出版社の大袈裟な宣伝文句に振り回されることなく、読みたい本が手元に集まるようになった。


おれは「本のソムリエ」でも「ブックコーディネーター」でも「又吉」でもないから万人に共通するような本選びの方法を提案することはできない。しかし、曲がりなりにも約3年間出版社の営業として書店や本の取次を回ったりしていたので、本の流通のカラクリは普通の人よりは理解してるつもりだ。たぶん、ストレスの少ない本との付き合い方くらいなら示せるんじゃないかと思う。


ストレスを溜めない本選びを実現するために最も大事なのは、書店との適度な距離感だ。これさえきちんと保てていれば、読みたくもない本を大量に買い込んでお金と時間を浪費するみたいな事態にはまず陥らないと言っていい。


やるべきことは、自分にとってメインとなる書店を設定することだ。これは、ちまたに出回っている「読書法」に関する本にもよく書かれているコツである。買うべき新刊本は、このメインの書店の棚を眺めて決めるようにする。できるだけ浮気はしないようにする。


おれ自身の経験から言うと、メイン書店は自宅から1駅か2駅くらい離れた場所にある中型書店がベストである。なぜなら、自宅からあまりに近過ぎると立ち寄る回数が自然多くなり、無駄な本を買ってしまうリスクが高まるからだ。そこまで坪数のない店にすべき理由としては、品揃えが多過ぎると選択肢が増えて目利きの精度が下がるのに加え、単純に疲れるからである。


ジュンク堂丸善紀伊國屋のような大型書店には、「これだ!」という本が明確に決まっていない限りはなるべく行かない方がいい。出版業界が右肩下がりの昨今、大型点には新刊本の配本が集中する傾向があると同時に、そういった店には出版社からポップやポスターなどの販促物が過剰に納品され、棚やワゴンにごてごてしく飾られる。全国的にはろくに売れてないし、郊外の書店では1冊も配本がないような本が、「重版決定!」、「売れてます!」というポップと共に置かれていたりするから要注意だ。ああいうもののほとんどは書店員ではなく出版社の営業が作っているただの広告でしない。その視点を持ってるだけでも大分違うんじゃないかと思う。大型書店の店内は嘘が多いから、一種のエンターテイメントだと割り切って付き合うことが大事である。


中型書店の一見飾り気のない棚の方が、良本を探す点においては信頼できる。なぜなら、そこには現時点での「等身大の世の中」があるからだ。具体的な店名を上げるなら、店舗によって坪数のばらつきはあるが、あおい書店、ブックファースト有隣堂、書泉なんかがメイン書店としては使いやすいと感じる。ちなみにおれは、最寄り駅から一駅離れたあおい書店をメインに設定している。


さて、ある程度の数本を読む人なら、新刊本以上に古本を購入する機会も多いのではないかと思う。古本に関しても、メインの書店を決めておく必要がある。


誰もが一番に思い浮かぶのは、やはりブックオフだろう。値段も安いしそれでも構わないのだが、新刊本選びにおける大型書店と同様にブックオフは在庫数が多過ぎて探索の精度が下がる。


おれは、古本の購入に関しては、本を探すという過程を楽しむこと自体が貴重な経験だと思っている。だから、ブックオフのようなやかましい店内放送と粗野な品揃え(たまにお宝があるが)の店だけでなく、店の規模は小さくとも店主によって選び抜かれた古本が棚に並べられている個人店に行くことをおすすめします。店の場所に関しては、新刊書店とちがって値段も安いし、棚を眺めるだけで良い刺激になるので、自宅に近い方がいい。気が向いたらふらっと行けるしね。単純に行くだけで視野が広がります。


おれがよく行く古本屋は、店主が一人でやっているとても小さな店なのだが、限られた棚スペースの中に明確な意思に基づいて作られた文脈を読み取ることができるので、棚を眺めているだけで知的好奇心をくすぐられる。自分の中で勝手に「リアルビブリア古書堂」と呼んでいるお気に入りの書店です。


ここまで決めてしまえば、読む本に困ることはまずないのではないか。無駄な情報をできるだけ排除しているので、気持ちも楽なんじゃないかと。どうしても欲しい本がある時だけネットや大型書店を使えばOKです。


なんだか当たり前のことを長々と言っただけのような気もするが、おれ個人の本および書店との付き合い方でした。