そのイヤホンを外させたい

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そのイヤホンを外させたい

文芸を糧に生きるアラサー男子のブログ。

「10冊の本で自分を表現する」:やらない理由が見当たらない

おハロー。


「本棚の10冊で自分を表現する」と、こうなった - ぐるりみち。



本10冊で自分を表現だと…。


なにこれ面白そうw


やらない理由が見当たらないので、承認欲求まみれのぼくの10冊を紹介します。


自分でも意外なほど昔の小説が多くなってしまった。もうちょっと現実生活に役立つもの読めよって感じだが、どれも自分の内面にくっきりとした足跡を残していってくれたものばかりです。じゃ、ご確認ください。




1.神聖喜劇/大西巨人

神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫)

神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫)


神聖喜劇』は太平洋戦争中の日本陸軍を描いた長編小説です。個人の真の「闘争」とは何か。この小説が教えてくれます。主人公の東堂太郎は、持ち前の超人的な記憶力と文学や哲学など過去の知の遺産を武器に理不尽極まる軍隊生活の中で孤軍奮闘します。彼の思考の波に誘われながらめくるめく人文知の世界を巡る探究の旅。読み終わった時、きっとその人の人生観は変わります。ストイックな作風な中にも、女性との湿っぽい恋愛や屯営内での笑える珍エピソードなど、気を抜いて楽しめる場面もあるのが魅力です。主人公の飽くなき抵抗に呼応する形で徐々に仲間が増えていくのもカッコいいですね。

2.アンラッキー・ヤングメン/大塚英志藤原カムイ

アンラッキーヤングメン 1 (単行本コミックス)

アンラッキーヤングメン 1 (単行本コミックス)


「3億円事件」を題材にした作品は世にいくつも出てるけど、これが一番面白い! 60年代後半の日本、永山則夫北野武永田洋子をモデルにしたN、T、ヨーコの三人はそれぞれの問題を抱えながら、Tの書いた映画脚本「アンラッキー・ヤングメン」の筋書き通りに現金輸送車襲撃を試みる。「どの時代の若者たちも「アンラッキーヤングメン」としての自意識に苛まれて生きて、あるものは道を外し、あるものは名を成し、そしてたいていのものはありふれた大人になっていく、ということをめぐる絶望的なまでの息苦しさのようなものを描いてみたかったのだと思う。」という原作者大塚英志の言葉が生々しい。藤原カムイの絵も冴えに冴え渡っている感じでナイスです。

3.夏目漱石を読む/吉本隆明

夏目漱石を読む (ちくま文庫)

夏目漱石を読む (ちくま文庫)


思想家の吉本隆明による夏目漱石読本。本当に漱石の小説が好きで繰り返し繰り返し読んでその都度考えを巡らせなければ、誰でも分かるような言葉でこんなに深いことは言えんでしょう。朝日新聞での連載を契機にこれから漱石作品を読んでみようという人も、もう全作読んだよという人も、読んで損のない内容になっています。ぼくにとって吉本さんの漱石論は小説読解の理想の姿です。

4.誘惑論・実践篇/大浦康介

誘惑論・実践篇

誘惑論・実践篇


ナンパ師として二年ほど活動していた頃にこの本を読んで感銘を受けました。ナンパのテクニックを教えるマニュアル本は世に腐るほどありますが、どれも浅知恵ばかりでこの本ほどナンパ師という存在を理知的に突き詰めている本は他にないと思います。女性との不毛なセックスを繰り返して「おれ何がしたいんだろ?」なんてアンデンティティクライシスに陥ってるナンパマンは、本書を読んで頭の中を整理しましょう。十中八九ナンパがヘタクソになるでしょうが、まぁいいんじゃないでしよーか。

5.赤と黒/スタンダール

赤と黒〈上〉 (岩波文庫)

赤と黒〈上〉 (岩波文庫)

「おれは臆病者なのか、武器をとれ!」(桑原武夫生島遼一訳)

恋の激闘。時代の怪物ジュリアン・ソレルの野心が眩しい。彼の恋愛術は階級社会の中で自分が成り上がるための手段的振る舞いであることは確かだけれど、同時にあるのかないのか分からない純愛を常に求める精神がある。それが、相手の胸に火をつけるのだ。ぼくの中のスーパーヒーローです。

6.野獣系で行こう‼︎/宮台真司

野獣系でいこう!! (朝日文庫)

野獣系でいこう!! (朝日文庫)


宮台真司の著作は何冊か読んでるけど、この対談集が一番グルーヴ感があって面白い。90年代も終わりに差し掛かりオウム事件エヴァンゲリオン現象などが起こり始めた頃の「世の中がガラッと変わった」という空気をひしひしと感じます。香山リカ田原総一朗小室直樹などの知識人に加え、風俗ライター、エロ写真家、SM男優などの怪しげな人たちが対談の相手にチョイスされているのも宮台さんらしくて微笑ましい。ぼくもできれば野獣系で行きたい。

7.ディキンソン詩集/エミリー・ディキンソン

対訳 ディキンソン詩集―アメリカ詩人選〈3〉 (岩波文庫)

対訳 ディキンソン詩集―アメリカ詩人選〈3〉 (岩波文庫)

これは世界にあてたわたしの手紙です
わたしに一度も手紙をくれたことのない世界への
(亀井俊介訳)

読んだのはつい最近。ぼくはディキンソンという詩人に圧倒されると同時に恋をしてしまった。なんて素敵な詩を書く人だろう。最後まで彼女を見出さなかった世界が憎い。周囲から見向きもされなくても人生の使命をきっちり勤め上げる透明な精神を彼女から教えてもらった。この先、より多くの人にこの人の詩が読まれてほしいと思う。

8.愛犬ビンゴ/シートン

愛犬ビンゴ―シートン動物記 (集英社文庫)

愛犬ビンゴ―シートン動物記 (集英社文庫)


ぼくがにとって思い出深いのは表題作ではなくて二番目に収録されている「銀ギツネの伝記」です。小学生の頃図書室で借りて読んで、銀ギツネのドミノの気高い生き様に憧れましたね。群れから離れて孤独に生きる、ということに言い表しようのない憧れを抱くようになったのはこの作品を読んだのがきっかけ。先日ブックオフで見つけて大変懐かしたったです。

9.売春捜査官ー熱海殺人事件/つかこうへい

売春捜査官―熱海殺人事件

売春捜査官―熱海殺人事件


色んなバージョンのある熱海殺人事件、一番好きなのは主人公の木村伝兵衛を名前だけ残して女性に変えた本作です。ぼくは直接芝居を観たのですが、劇場の温度が上がるほどの熱量で発せられる長台詞の数々に芸術の尽きることのない面白さと永続性を感じました。「あいつは軽いよ」と大学教授などにバカにされることも多いつかさんですが、ぼくは尊敬してます。

10.嵐が丘/エミリー・ブロンテ

嵐が丘(上) (岩波文庫)

嵐が丘(上) (岩波文庫)


知らない人はほぼいないであろう名作中の名作。でも、この小説なんだかヘタクソなんですよ。少なくともこの作品を書いた時エミリー・ブロンテは作品全体の構成や筋の運び方にあまり気を配らなかったと思う。そのような欠点全部含めてぼくはこの作品が好きだ。なぜなら、ここには本物の愛と憎しみが描かれているからだ。



まとめ:

実際10冊をチョイスしてみて判明したのは、おれって恋と孤軍奮闘が大好きなのねっていうこと。薄々分かってはいたけどこれほど顕著な形で出るとは思わなんだ。自分自身の趣味嗜好をあらためて把握する上で非常に役に立ちました。楽しかったです〜。