そのイヤホンを外させたい

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そのイヤホンを外させたい

文芸を糧に生きるアラサー男子のブログです。

【秘策】返信用封筒入れ忘れに対処するたったひとつの冴えたやり方

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やぁ、きみか。久しぶりだね。
一体どうしたのさ、そんなに慌てて。


なに?    


取引先へ送る郵便物に返信用封筒を同封するのをうっかり忘れたまま封をしてしまったって? 


やれやれ。せっかちな性格は昔と変わらないようだね。何だかホッとしたよ。



簡単だよ。
中身を取り出して新しい封筒に入れ直せばいい。封筒を一枚無駄にしてしまうのはもったいないけれど、取引先に無礼を働くよりよっぽどマシじゃないか。何を悩む必要があるんだい。


え?
少し前にも同様のミスをして上司に怒られたばかりだから今回は秘密裏にリカバーしたいんだって。


きみはまだそんな体裁にこだわっているのかい? 成果とはまるで無関係の事柄に一喜一憂しなけりゃならないなんて会社員は大変だね。心中お察しするよ。


まぁ、いい。
ぼくに考えがある。


ぼくはこれまでいつだってきみがピンチの時は助けてきただろ? だから今回も、きみの顔に泥を塗るようなことはさせないよ。切手も封筒も無駄にすることなく、中身を取り出してみせるからね。


きみは今、自分が絶望的な状況にいると感じているかもしれない。でも、その考えは決定的に間違っている。人は自分の生きる世界を主観的にしか眺めることができない。だから、絶望も希望もきみ自身の世の中に対する見方次第でいくらでも変わる。きみを追い詰めているのは紛れもないきみ自身なんだよ。

 
きみは単に視野狭窄に陥っているだけだよ。
その場にいなくてもぼくには手に取るように分かるんだけど、きみが泣きそうな目で飽きずに眺めているのは、少し前に自分の手で糊付けした封筒の口の部分だ。いくら見つめていたって一度閉ざされた門は簡単には開きはしないのに。



ねぇ、きみは上ばっかり見てるよね。
空に目を向けないで地べたばかり見つめているのも問題だと思うけれど、上を向いて歩いてばかりいると時に現実の地平を見失うよ。



もう一度言うけど、きみは上ばかり見てる。
たまには深呼吸して、もっと別の場所に目を向けてみたらどうだい? 何が見える?



頭の良いきみのことだからもう気づいたろうと思う。



うん、そうだよ。封筒の口は上だけじゃないんだ。閉ざされた門はもう一つある。しかも好都合なことに、そちらの門はきみが糊付けした門とは違って必ずしも鉄壁じゃない。


封筒の底部は工場で機械によってまとめて糊付けされるから、糊の量も比較的少なく、接着も甘いことがほとんどなんだ。


何か平べったい棒状のものを隙間に挟み込んで剥がしてもいいし、慎重に手で剥がすのでもどちらでもいい。ぼく自身の経験から言えば、後者であっても十分問題なく綺麗に開封できるよ。

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さて、きみの封筒の底は無事に開いたかい?
開いたら、そこから返信用封筒を入れてしっかり糊で封をしよう。たぶん、パッと見では一度開いたとは思えないほど綺麗に元通りになっているはずだ。


仮に少々剥がれがあったとしても、多くの人間は滅多なことでもない限り封筒の底部に目をやったりしないから平気だよ。さっきまでのきみのようにね。


無事にやりおおせることができて本当に良かった。
目をキラキラさせてこのコペルニクス的転回を喜ぶきみの姿をじかに見ることができなくてちょっと残念だ。


でもね、この方法を初めて知った時はみんなテンションが上がって大喜びなんだけど、一度知ってしまうと途端に陳腐化して驚きも何もなくなるみたいなんだ。ライフハックなんて所詮はそんなもんなんだろうけど、人間ってつくづく自身の幸せに気づき難い生物だよね。


まぁ、いいや。
積もる話はまた飲みにでも行った時に。
わりとしょーもない話題とは言え、久しぶりに声が聞けて良かった。


それじゃあ、元気で。