そのイヤホンを外させたい

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そのイヤホンを外させたい

アラサー文系男子のピカレスク・ログ

セックス嫌いは人間嫌い/代々木忠『つながる』の感想


AV界の巨匠ヨヨチューこと代々木忠の著書『つながる』を原作とした映画『愛∞コンタクト』が来る11月に公開されるらしい。



書籍の中のいくつかのエピソードを基にしたオムニバス作品らしいのだが、出演者はもちろん監督やプロデューサーなど製作スタッフの多くが女性であることが特徴的だ。


これはぜひ見に行こうと思うのだが、肝心の書籍が積ん読のままだったのでこのタイミングで読むことにした。



代々木忠さんの監督作品は『ザ・面接』シリーズをいくつかレンタルで借りて見たくらいである。


審査員という役割で数名の女性がセックスを見守るという形式も独特だし、一般的なAVと比べて演者それぞれの細かな反応まで余さずとらえているので、言葉や視線のやり取りによって沸々と高まっていくいやらしさがある。オーガズムに達した後の女性の瞳のクローズアップがなんともいえずエロい。宇宙を感じる。

セックス嫌いというのは、つまるところ人間嫌いでもある。


赤で線引きました。
これって言い切るのに大変勇気がいる言葉だよなぁと思う。


「人間嫌い」には2種類ある。
自己否定と他者否定。
セックスでちゃんとつながれない男女には必ずそのどちらか一方、または両方がある。


それを克服しない限りセックスの最中でも心ここにあらず、「セックスのように見えて、じつは相手の体を使ったオナニー」になってしまう可能性が高い。


厄介なのは、そういった自分や他人に対する否定の感情のほとんどは幼児期の家庭環境で形成され、以後デフォルトになるため当人でも原因に気づけないということ。


著者の場合は、退行催眠などのテクニックを駆使して対象の躓きの原因をあぶり出し、セックスの時自分や相手に対する心のストッパーを取り除いたりするとのことだが、これは普通の人が行うにはややハードルが高いだろう。知識の充分じゃない素人がやると逆に相手のトラウマを悪化させたりというマイナスな結果につながることもあり得る。


今に集中する。
本書から読み取れる限りでは、それがわれわれが取れる最も有効な他者とつながる術であるようです。


著者は、自分の作品の中でセックスで相手と深くつながることが上手な女性のことを「瞬間恋愛指数が高い」と形容している。


身も蓋もない言い方をしてしまえば「心がオープンな人」ということになる。
そういった人は過去の経験や未来に対する不安に必要以上に拘泥することなく、自分と目の前の相手をそのまま肯定し許すことができる。だから他人との触れ合いで傷つくことも恐れないし、その中で真に自立することができるというわけ。


抽象的なアドバイスも多いし今の自分では実感の沸かない部分もあったけれど、「あとがき」で著者が書いているように、ひとまず本書の内容は心の奥にしまっておいて、体験を通じて少しずつ自分のモノにしていけばいいのかなぁと思いました。


それでは。