『20歳の自分に受けさせたい文章講義』はアラサーが読んでも得るところが大きかった
量か質か。
ブログを書いている人間なら、たびたび耳にするであろう二者択一だ。
今のところ、量は質を凌駕するという考え方が優勢かと思います。
量をこなさないと質も上がらないのでつべこべ言わず書け、ということですね。
とはいえ、いかに早く大量に記事を生産することが重要だと言っても、早い段階から文章の書き方を文章術の本などで学んで、書き手としてのレベルアップを図っておいて決して損はないでしょう。
- 作者: 古賀史健
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/01/26
- メディア: 新書
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『20歳の自分に受けさせたい文章講義』は、これまで刺激的な内容の新書を世に送り出してきた星海社新書のラインナンップのなかでも、マスターピースと呼べる1冊だと思う。
著者の古賀史健氏は、堀江貴文の『ゼロ』や『嫌われる勇気』といったベストセラーを手掛けた売れっ子のライターである。
もっとも、本書の刊行はそれら2冊よりも前である。
ライターとしての自身の文章術を1冊の本として体系化する作業は、著者のキャリアにプラスに作用したことは間違いない。
タイトルの「20歳」という言葉を見て、初歩的な文章テクニックしか載っていないと思うのは早合点だ。
おそらく、日頃ビジネス文書などを書き慣れた会社員の方が、本書にとっての良い読者になれるのではないかと思う。
ほら、20歳かそこらの頃って、既存の文章術なんかに頼らずとも自分はうまい文章が書けるはずという根拠のない自身があったりするじゃないですか。
だから、本書を一読してもあまり響かないんじゃないかな。自分の物書きとしての至らなさをそこそこ客観的に見ることのできるアラサーだからこそ、読んで身に染みる部分も多い。
本書のなかで、著者は“書く技術”はそのまま“考える技術”だと言っている。
では、“考える”とは具体的にどういうことか。それは、頭のなかの「ぐるぐる」を、伝わる言葉に“翻訳”するということである。
上手い文章を書くために必要なのは、この“翻訳”の意識と技術なのだ。
以下、“翻訳”の技術を向上させるのに必要な4つの要素と、ためになったテクニックを順にメモしておく。
リズム
文章を語る上でよく引き合いに出される「文体」という言葉。
その正体は、文章のリズムである。
リズムの悪い文章は読みにくい。
では、どうすれば文章にリズムが出るのか。
カギは接続詞である。
接続詞を意識するだけで文章は論理破綻し難くなる。
リズムの良し悪しは、文と文のつなげ方、論理展開で決まる。
構成
接続詞が論理展開を補強する接着剤の役割なら、論理そのものは「主張」、「理由」、「事実」の組み合わせによって構成される。
書き手の「主張」が客観的な「事実」に基づいた「理由」によって裏打ちされたとき、読み手はその文章を論理的だと感じる。
実際には、「事実」→「主張」→「理由」の順で構成する書き方が自然で書き手の言わんとするところがスムーズに伝わりやすい。
読者
読者に「当時者意識」を起こさせるための起“転”承結のテクニックは汎用性が高い。
文章の冒頭で仮説を立てて読者の興味を引けば途中で飽きずに最後まで読み切ってくれる。
ブロガーにとって、この箇所が最も役に立つかもしれない。
編集
推敲とは、単に文章の誤字脱字を赤ペンで直す作業を指すのではない。
鬼軍曹になったつもりで、不必要と思われる箇所はバッサリと大胆にカットしよう。
推敲とは、つまるところ「もったいない」や「せっかく書いたのに」というサンクコスト(埋没費用)をいかに捨て去るかが勝負なのだ。
文章でも映像でもプロの仕事は削りの技術を学ぶ格好の教材だ。
一流の書き手は例外なく優れた編集者でもあるのだから、どんどん吸収して盗むべし。
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ブログは、基本的には何を書いてもいいという個人の自由な表現の場だ。
しかし、その自由さゆえに何をどのように書いたらいいのか途方に暮れることがある。
そういうときは、回り道をいとわず、本書にあるような文章術を試してみてほしい。思っていた以上の気づきがあるし、文章の幅も広がるはずだ。