そのイヤホンを外させたい

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そのイヤホンを外させたい

アラサー文系男子のピカレスク・ログ

絵本とお金

話題に乗る エッセイ


キングコング 西野 公式ブログ - お金の奴隷解放宣言。 - Powered by LINE


キングコング西野さんの話題について。

多くの方が指摘するように、今回西野さんが取った『えんとつまちのプペル』WEB無料公開は、いわゆるフリーミアムと呼ばれるビジネスモデルです。

WEBで無料で読めるようにすると、みんなそれで満足してしまったってリアルの本を手に取らなくなりそうですが、実際には反対でWEB版だけでは満足できない読者が本買うのですね。

雑誌に関しても、WEB無料公開について最初は反対の声も強かったけれど、フタを開けてみれば売れ行きが良くなった例が多く、今はその有効性が認められています。

西野さんが言うように、お金のない子供がWEBで絵本を読めるようになったり、絵本の流通のしくみに一石を投じることで、保守的な絵本業界で新人作家が生き残る確率が高まるようなことになれば、それは素敵なことです。

でも、上の記事では西野さんと同じように絵本を書いて収入を得ているクリエイターへの配慮が感じられない。メッセージの伝え方があまりにも無神経で子供じみている。

言葉と想像力を使う仕事にたずさわる人間ならもう少しなんとかなるんじゃないの?って自分は思いました。

斬新な発想で次々と新しいことに挑戦していく西野さんは純粋にすごいと感じるけれど、お笑いとか、今回の絵本とか、土俵を同じくする人々の気持ちを軽んじるような発言が多いのはちょっと好きになれないです。


***


それはさておき、自分が上の記事を読んでまず頭に浮かんだのは、ピーターラビットの生みの親ビアトリクス・ポターのことでした。

国も時代も違うけれど、両者には“絵本”と“お金"という共通項があるように思う。

ポターの生涯については、本もいっぱい出てるし、映画にもなっているのでご存知の方は多いと思います。

ピーターラビットのおはなし (ピーターラビットの絵本 1)

ピーターラビットのおはなし (ピーターラビットの絵本 1)


出世作ピーターラビットのおはなし』によって絵本作家としての地位を築いたポターは、婚約者の突然の死など人生の苦悩を乗り越えた末に、絵本の舞台にもなっているイギリス北部の湖水地方に移り住みます。

この土地の自然を愛した彼女は、その保護のために絵本の印税収入で土地や建物を次々と購入していきました。それらの不動産は彼女の死後、ナショナル・トラストに寄付されることになります。

絵本作家らしからぬ力業ですよね。
悪意のある言い方をすれば、ポターは自分の愛する土地を守るためにお金に物を言わせたのです。

しかし、だからと言ってポターはお金の奴隷だったのでしょうか。違いますよね。それは結果論でしかない。

ピーターラビットの絵本が大ベストセラーになり作者に富をもたらしたのは、本の内容が多くの読者の心をつかんだからです。ただそれだけです。

真に魅力的な物語と読者の関係においては、たとえそこに金銭のやり取りがあったとしても、「お金の許可」なんてはなから取る必要はないんです。


ビアトリクス・ポターの生涯を知るのにおすすめの作品。観るとちょっと優しくなれる。

ミス・ポター [DVD]

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