そのイヤホンを外させたい

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物語を糧に生きるアラサー男子の方法序説。文芸や出版メディアの趨勢について気になったことを書いていきます。

男らしさ、女らしさの根拠はどこにあるのか/映画『大奥〈男女逆転〉』

『大奥〈男女逆転〉』という映画を観た。
興味深い男女逆転劇。

大奥 <男女逆転>通常版DVD

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よしながふみ原作の人気コミックを嵐の二宮和也柴咲コウ主演で映画化した異色時代劇。謎の疫病によって男の人口が減少した架空の江戸時代を舞台に、女将軍の寵愛を求めて美しい男たちが謀略を繰り広げる。
内容(「キネマ旬報社」データベースより)


謎の疫病による男性人口の減少に伴い社会的な男女の地位が逆転した江戸時代。恐るべき設定である。

「女性が上がる必要はない。男が下がればそれで済む」

なんてカッコつけて、自分はTwitterで呟いたことがある。

が、実際に「じゃあ下がってみろ」となった場合このような世界で生きていくことになるわけだ。

ごめん、とても無理だ。

遊郭で売られている美少年を女たちが和気あいあいと談笑しながら値踏みするシーンなどは背筋がゾッとした。女性はこのような現実を今も生きているわけで……分かったようなことを言って実は何も分かっていなかった。自分が思っているほど今の世の中は男女平等ではない。


この作品が面白いのは、一口に男女逆転と言っても全てにおいてバトンタッチしてしまうわけではないという点。
社会的な地位は逆転しても、結局男と女が互いの内面の価値を量り合えるのは、男女本来の「男らしさ」、「女らしさ」が噴出した時なんだよね。

水野が大奥の中で破竹の勢いで出世できたのは、結局彼が男らしかったから。吉宗が規則に逆らって水野に自分の下の名前(水野の幼馴染の名)を呼ぶことを許したのは、彼女が情に流されやすい女だったから。

だとするなら、男が男であること、女が女であることって、車を持ってるとか綺麗に着飾ってるなんていう外部的なものとは全く別の次元に根拠を置いているのではなかろうか。


現代は男と女で家事を分担するのも当たり前になってきてけれど、まだ過去の常識に囚われて一方の権利だけ声高に主張する人間も多い。彼らが恐れてるのは、男が男でなくなること、女が女でなくなること、だ。

しかし、果たして性というものは男が洗濯をしたり女がフルタイムで働いたくらいで簡単に揺らぐものなのだろうか。その点を、現代人はまだ考える余地があると思う。

最終的な水野の処分など安っぽいヒューマニズムに辟易させられたけど、ジャニーズ主演のエンタメだからしょうがない。なにはともあれ、考えるきっかけを与えてくれる内容でした。

大奥 (第1巻) (JETS COMICS (4301))

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