そのイヤホンを外させたい

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文芸好き。ラノベやWEB発の作品まで視野に入れつつ、文学または物語の趨勢について考えたことを書いていきます。

【キーラ・ナイトレイ出演作】文学作品が原作の映画4選

学生時代は時間がありあまるほどあり、映画を1日に3本鑑賞することも決して珍しくありませんでした。


でも、社会人になってプライベートの時間が限定されると、今では月に5本鑑賞できれば贅沢と言えるくらい映画との距離が遠ざかっています。


それでも、好きな文芸作品の映像化作品はなるべくチェックするようにしています。原作と映像作品の細かな違いとか見つけるの好きなんです。


いくつかの作品を観ている途中で感じたのは、キーラ・ナイトレイの顔をよく見るなぁということ。


パイレーツ・オブ・カリビアン』をはじめ大作映画への出演で、日本でもわりとポピュラーな女優さんかなと思います。


ジョー・ライト監督作品の常連である彼女は、誰もがタイトルだけは知っている文学作品の映像化でヒロインに抜擢されることが多いです。


どの作品でも安定感のある名演技をしているので、原作を読む際にはぜひ手にとってみてください。僕自身が原作含め鑑賞した範囲で4作品ほど挙げておきます。


ちなみに、彼女自身の愛読書はトルストイの『戦争と平和』とのこと。


1.プライドと偏見

プライドと偏見 [DVD]

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ジェーン・オースティンの代表作を映像化。本作はストーリーの特性上、派手な事件がほとんど起こらないため、おのずと役者の演技の技量に目がいきがちです。役者の何でもない所作が凡庸だと作品そのものが台無しになる。キーラは、聡明かつ天真爛漫なエリザベスを原作の雰囲気を損なうことなく演じ切っています。

自負と偏見 (新潮文庫)

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2.つぐない

つぐない [DVD]

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原作は現代英国文学の重鎮イアン・マキューアンのシックな長編小説。キーラ演じるセシーリアは、実の妹のたった一つの些細な嘘によって運命を狂わされ、悲劇的な結末に追いこまれていく。圧巻なのは、愛し合う一組の男女にとっては神聖なものである逢引の瞬間が、子供の目から見るとおぞましいものにしか映らないという残酷な行き違いが生じる場面です。個人的には、彼女の出演作でこれが一番好き。

贖罪〈上〉 (新潮文庫)

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3.わたしを離さないで

昨年日本でもTVドラマ化された作品の本国版。原作はカズオ・イシグロの同名小説。キーラは、ヘールシャムと呼ばれる寄宿学校で生活する仲良し3人組の一人ルースを演じる。このルースという少女の周囲で生じる悲劇は、彼女が置かれた環境によるものと彼女自身の特性によるものの両方が混在しており、その複雑性が人物の魅力を形成しているように思います。キーラは、そういった少女のやるせない感情を抑制の効いた演技で表現している。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

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4.アンナ・カレーニナ

アンナ・カレーニナ [DVD]

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19世紀ロシアの文豪トルストイの言わずと知れた姦通小説の傑作を映像化。単なる人妻の不倫の話なのに、ロシアの大地と社交界が舞台になるとたちまち一大スペクタクルになる。トルストイの作品には作者の俯瞰的な視線によって登場人物を駒のように動かし、そこから血の通った全体性、普遍性を作っていく特徴があると僕には感じられるのですが、この映画ではその感じがよく出ています。ヴロンスキーが原作よりもイケメン過ぎる気がする。小説の方では確か部分禿げがあったような気が……。

アンナ・カレーニナ〈上〉 (新潮文庫)

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おまけ.危険なメソッド

危険なメソッド [DVD]

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本作は小説原作ではないけれど、人文学つながりで心理学者、精神医学者のユングフロイトの一筋縄ではいかない関係性を文学と捉えることもアリかなと。キーラ扮するヒステリー患者ザビーナは二人の天才の間でファム・ファタールの役割を演じます。冒頭の精神病患者としての彼女の演技は鬼気迫るものがあり、女優としてのプロ意識の高さを感じます。

精神分析入門 (上巻) (新潮文庫)

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ここまで書いてきて気づきましたが、キーラは悲劇のヒロインを演じることが多いですね。自然、作品そのものも後味の悪いものが多い。でも、もれなく面白いよ。

それでは。