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ジミー大西の半生を描いた小説『Jimmy』を読んだ感想

原作・明石家さんま『Jimmy』を読みました。

Jimmy (文春文庫)

Jimmy (文春文庫)

本書はNETFLIXで7月から独占配信予定だったオリジナルドラマのノベライズなのだけど、ドラマ内で明石家さんまを演じた小出恵介が未成年者との淫行疑惑で無期限活動休止となったため、ドラマの方はお蔵入りになるという残念な事情がある。出版社としては想定外の事態だったこともあり、本書はドラマ宣伝の帯が付いたままで書店に並べられています。


ジミー大西さんのことは『旅猿』などのテレビ番組で見せる自由奔放な言動や色彩に富んだ抽象画家としての独自な作風が昔からとても好きだったので、ドラマは残念だったけど小説の方を手に取ってみました。

「嘘みたいな話ばっかりですけど、全部ホンマです!」


これはジミーさんの育ての親である明石家さんまさんの言葉ですが、僕も本書を読んで「嘘だろ?」と何度も思いました。ジミーさんの人生って嘘みたいなホントの話で溢れてるんですよね。


その中には、天然おとぼけキャラで許してしまえる微笑ましいものもあれば、普通の人だったら笑って済まされないようなかなりきわどい出来事も含まれています。


事実、何をやらせても人並みにできず失敗ばかりしているジミーさんを当初吉本はクビにしようと考えていたほど。これは吉本の基準が厳しいというわけではなくて、どの会社でも通用しない社会不適合者を受け入れる素地のあった吉本でさえもジミーさんに対してはほぼ匙を投げていた。


それでも、さんまさんだけはジミーさんを見放すことなく面倒を見続けて、芸人、そして芸術家としての彼の才能を開花させていく。


たぶん、というか絶対、もしさんまさんがいなかったら芸人ジミー大西はこの世に存在しなかったろう。自分のみじめさや悲しさを笑いに振り替えていくさんまさんの哲学に触れることがなければ、ジミーさんは自分の個性を武器にして前に出ていくことはできなかったはず。


ジミーさんにとっての恩人はさんまさんだけではなく、あの岡本太郎も彼の絵の才能を認めエールを送っています。さんまさんや岡本太郎に見る目があったというこももちろんですが、ジミーさんの方でも自分が師事する人間に対しては鋭い嗅覚を持ち合わせていて、盲目的と形容してもよいほど慕って止みません。


そのような普通の人間ならばセーブしてしまう純粋な感情を躊躇いなく出せるのも、笑いや絵の才能と同様にジミーさんの魅力の一つだなぁと本書を読んで感じました。

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※『旅猿』に時たま出るジミーさんが好きです。

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