恋愛は良いとこ取りが不可能/映画『ブルーバレンタイン』
『ブルーバレンタイン』という映画を観た。
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ひと組のカップルの出会いと別れを通して、愛が生まれる瞬間と終焉を痛切に描いたラブロマンス。ディーンとシンディの夫婦は結婚7年目を迎え、ひとり娘を授かるも感情の溝は深まるばかり。しかし出会った頃のふたりは若く、夢に満ちていた。
(「キネマ旬報社」データベースより)
あらかじめ聞いてはいたものの、観ててつらい。とても残酷だ。恋愛の甘さと苦さ両方をもった作品ですね。
1組の男女が出会ってから夫婦になり最終的に破局するまでの物語。過去と現在の二人の姿を対比的に見せる手法が効果的で、恋愛の喜びと脆さを同時に味わうことができる。好きだったのに何でこんな出来栄えになっちゃうの? 世の中何か間違ってる。
二村ヒトシの対談集『淑女のはらわた』に、「恋は衝動的なもので愛は理性的なもの」という名言があります。この映画は正に二つの概念の違いを明瞭に描き分けていると思う。
「恋愛」という単語の真ん中に「/」を入れて「恋」と「愛」に分けて考えるのは時に大切なんですね。それぞれのフェイズで全く取るべき手段が異なるから。
ただ、恋と愛の違いとか口で言うのは簡単だけど実際やってみるとちっともうまくいかないもんです。男と女のことはアダムとイブの時代から決して良いとこどりができないようになっているのかもしれない。
普通の恋愛映画と違って作り手のドライな視線を感じることのできる一作でした。
ではでは。
- 作者: 町山智浩
- 出版社/メーカー: 集英社
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