そのイヤホンを外させたい

2017-01-01から1年間の記事一覧

上田秋成『雨月物語』の感想

上田秋成『雨月物語』を、後藤明生の現代語訳で読んだ。雨月物語 (学研M文庫)作者: 後藤明生出版社/メーカー: 学習研究社発売日: 2002/07メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る 子供の頃、実家の祖母が亡くなったすぐ後に生前から…

『源氏物語』を読む2〈澪標〉~〈藤のうら葉〉

与謝野晶子の源氏物語〈中〉六条院の四季 (角川ソフィア文庫)作者: 与謝野晶子出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2008/04/01メディア: 文庫 クリック: 6回この商品を含むブログ (3件) を見る 小説家の角田光代さんによる新訳が刊行されたり、27時間テ…

蛇の出す刺身は食べる気にならない/川上弘美『蛇を踏む』

蛇を踏む (文春文庫)作者: 川上弘美出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1999/08/10メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 17回この商品を含むブログ (136件) を見る 第115回芥川賞を受賞した作品です。 僕は作者の川上弘美さんに個人的に恩がある。 高校生の時、…

「東野・岡村の旅猿」おすすめの回をTOP10で振り返る

僕はそれほどバラエティにはくわしい方ではないけれど、中には例外的に好きで観続けている番組もあります。 たとえば「東野・岡村の旅猿 プライベートでごめんなさい…」がそう。 人気番組だから知っている人も多いだろう。ジャンルとしては旅番組に分類され…

虚妄としてのアメリカ/柴田元幸『アメリカ文学のレッスン』

時間を見つけて英、米の小説を読んでいきたいなぁと考えています。新しい作品に挑戦してみたり、お気に入りの作品を再読してみたり。 今回はその前哨戦として、柴田元幸さんによる『アメリカ文学のレッスン』を読んだ感想です。アメリカ文学のレッスン (講談…

現代小説家はそれぞれがゲリラ戦を展開している

少し前の話になるが、『文藝2017年秋号』上にて「現代文学地図2000→2020」という特集が組まれていた。文芸 2017年 08 月号 [雑誌]出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2017/07/07メディア: 雑誌この商品を含むブログ (2件) を見る これは、9…

ALL REVIEWS(オール・レビューズ)は出版流通に変化をもたらすか

フランス文学者の鹿島茂さんが、先月ALL REVIEWS(オール・レビューズ)という書評無料閲覧サイトを立ち上げた。 今月からさらに書評家の数を増やすということで、これは個人的にめちゃくちゃ良い試みだと思っている。 ほとんどの書店の棚には文脈がない 個人…

【感想】第157回芥川賞受賞『影裏』

芥川賞を取った沼田真佑『影裏』を読んだので感想。影裏 第157回芥川賞受賞作者: 沼田真佑出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017/07/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 受賞会見での「ジーンズを1本しか持ってないのにベストジーニスト賞をもら…

剣という病に憑かれた二人の男を描く爽快作/藤沢周『武曲』

武曲 (文春文庫)作者: 藤沢周出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/03/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る 「諸手突きで自らの中心を貫いてみろッ。殺せッ」 p7 アルコール依存症で失職の末、警備員の仕事をしながら地元の高校の剣道部コ…

英語独学で手堅くTOEIC650点取る勉強法とおすすめの参考書

僕は大学時代に英文学を専攻していたのだけど、手に取るのはいつも翻訳ばかりでほとんど英語の勉強をせずに卒業した。 当時は何とも思わなかったが、社会に出てからも引き続き英米の作品を読んだりそれについてブログに書いたりする中で「やっぱり、ある程度…

『源氏物語』を読む1〈桐壺〉〜〈明石〉

紫式部『源氏物語』の感想を書いていきたい。 気忙しい日常の中で生まれるぼんやりとした諦念や寂しさにそっと並走してくれるような長い小説を読みたいと考えたら、自然と本作が頭に浮かんできた。通読するなら今だ。 高校時代の古典の授業などで部分的には…

ベッドはただ寝るだけの場所なんかじゃない。/シルヴィア・プラス『おやすみ、おやすみ』

子供の頃、ベッドは小さな秘密基地のようなものだった。 今日は珍しく、好きな絵本など紹介してみる。 本のタイトルは、『おやすみ、おやすみ』。おやすみ、おやすみ (詩人が贈る絵本)作者: シルヴィアプラス,クウェンティンブレイク,Sylvia Plath,Quentin B…

「海」は異質な何かを運んでくる。/ジョゼフ・コンラッド『エイミー・フォスター』

前回の『闇の奥』に続き、コンラッドの短編作品を読んでいた。コンラッド短篇集 (岩波文庫)作者: コンラッド,Joseph Conrad,中島賢二出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/09/16メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 91回この商品を含むブログ (12件) を見る…

虚無のゆくえ/ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』

闇の奥 (岩波文庫 赤 248-1)作者: コンラッド,中野好夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1958/01/25メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 39回この商品を含むブログ (57件) を見る 19世紀末、貿易会社勤務の水夫マーロウは、派遣されたアフリカ奥地の出張所…

【キーラ・ナイトレイ出演作】文学作品が原作の映画4選

学生時代は時間がありあまるほどあり、映画を1日に3本鑑賞することも決して珍しくありませんでした。 でも、社会人になってプライベートの時間が限定されると、今では月に5本鑑賞できれば贅沢と言えるくらい映画との距離が遠ざかっています。 それでも、…

ストロングセンスオブヒューマーのある小説家/ジェーン・オースティン『自負と偏見』

自負と偏見 (新潮文庫)作者: J.オースティン,Jane Austen,中野好夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1997/08/28メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 48回この商品を含むブログ (60件) を見る ジェーン・オースティンの作品を好んで読む男性は多くはないだろう…

【感想】劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌』

劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌』を観てきた。劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌』 公式サイト コナン映画は8割方観てきたのだけど、映画館に足を運んだのは今回が初めて。 コナンがスケボーに乗って無茶苦茶するお約束のアクション・シーンは、映画館…

『まおゆう』の感想/全てのWEB小説が異世界に逃げてるわけじゃない。

だいぶ今更だけど、橙乃ままれ『まおゆう』を読んだ。 わりと長めの作品なので、とりあえず1巻のみ。まおゆう魔王勇者 (1) 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」作者: 橙乃ままれ,toi8出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン発売日: 2010/12/29メ…

映画『ジェーン』/カウガール姿のナタリー・ポートマンに女優としての円熟を見る。

ジェーン [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2017/04/05メディア: DVDこの商品を含むブログを見る ここ最近、映画館で見逃した作品を遅ればせながら数作続けて鑑賞した。『ジェーン』もその中の一つ。 それにしても、映画作品のDVD/ブルーレイ…

わたしたちの住む街には得体の知れない何かが潜んでいる/乙一『GOTH』

エッジの効いた短編小説が読みたいなぁと思った。手に取ったのは、乙一の『GOTH』。GOTH 夜の章 (角川文庫)作者: 乙一出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/06/25メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 79回この商品を含むブログ (420件) を見るGOTH 僕の章 …

男らしさ、女らしさの根拠はどこにあるのか/映画『大奥〈男女逆転〉』

『大奥〈男女逆転〉』という映画を観た。 興味深い男女逆転劇。大奥 <男女逆転>通常版DVD出版社/メーカー: 松竹発売日: 2011/04/15メディア: DVD クリック: 19回この商品を含むブログ (37件) を見る よしながふみ原作の人気コミックを嵐の二宮和也、柴咲コ…

恋愛は良いとこ取りが不可能/映画『ブルーバレンタイン』

『ブルーバレンタイン』という映画を観た。ブルーバレンタイン [DVD]出版社/メーカー: バップ発売日: 2011/09/28メディア: DVD購入: 3人 クリック: 22回この商品を含むブログ (101件) を見る ひと組のカップルの出会いと別れを通して、愛が生まれる瞬間と終…

京都を舞台にしたポップな哲学散歩小説/原田まりる『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』

前に本の感想を書かせてもらった哲学ナビゲーターの原田まりるさんが、小説を出したということで買って読んでみました。ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。作者: 原田まりる出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2016/09/30メ…

現役作家による贅沢な世界文学講義/池澤夏樹『世界文学を読みほどく』

池澤夏樹『世界文学を読みほどく』が、めちゃくちゃ面白かったので感想を書く。 世界文学を読みほどく (新潮選書)作者: 池澤夏樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/01/15メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 62回この商品を含むブログ (55件) を見る 本…

【第156回芥川賞受賞】ピンぼけした記憶の先にある等身大の青春/山下澄人『しんせかい』

しんせかい作者: 山下澄人出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/10/31メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 第156回芥川賞受賞作、山下澄人『しんせかい』を読んだ。前回受賞の村田沙耶香『コンビ二人間』は純文とは思えないくらいリーダビリティの高…

甘美なる歌声は邪魔しない。/鹿島茂『「悪知恵」のすすめ』

こんにちは山中です。トランプ大統領による外国人入国制限のニュースがメディアを騒がせていますね。 悪い意味で期待を裏切らないというか、今回の出来事をきっかけにこの先ますます世界情勢は泥沼化していくでしょう。 今回の話題含め、外交問題に関する記…

曼荼羅のように艶めかしく美しい仏教漫画『阿吽』の感想

今日はおかざき真里『阿吽』の感想。阿・吽(1) (ビッグコミックススペシャル)作者: おかざき真里出版社/メーカー: 小学館発売日: 2015/04/03メディア: Kindle版この商品を含むブログ (2件) を見る 「阿吽(あうん)の呼吸」の“阿吽”がもともと仏教用語だと…

年収280万の独身アラサー男子が「タラレバ娘」から読み取るべきこと。

ついに放送がスタートしたTVドラマ『東京タラレバ娘』。ドラマ化を機に世間的認知度も高まり、職場やプライベートで本作の話題が上がることが多いです。自分も原作と比較検討しながら楽しく観させて頂きました。東京タラレバ娘(1) (KC KISS)作者: 東村アキコ…

平日休みに行った深大寺が、静かで緑が多くて心が癒された。

月に1〜2回の頻度で平日の休みがある。 平日の休みってどこに行くにしても人が少ないのでお得ですよ。 先日は、ふらっと調布市の深大寺に行ってきました。たまにテレビで紹介されてたりしてるのを見て、ずっと気になってたんですよね。 交通アクセスとしては…

言葉の短剣。ラ・ロシュフコー公爵の黒光りした箴言から世間を学ぶ。

16世紀~18世紀のフランスにはモラリストと呼ばれる文学者が登場し、人間の生き方についての考察を自由な文章形式でまとめました。 そんなモラリストの中に、ラ・ロシュフコー公爵がいます。自分は彼の『箴言集』が好きです。なぜなら、彼の箴言はとても的を…