もの思いこそ人生ー吉田兼好『徒然草』
- 作者: 今泉忠義
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川学芸出版
- 発売日: 2013/09/12
- メディア: Kindle版
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現代語訳で読んでいき、気に入った一節だけ原文を参照した。角川ソフィア文庫よ、ありがとう。
静かで立派な人だ。ちょっと偏ってるし矛盾している部分もあるけれど。
鎌倉時代人の感受性豊かすぎる。日常風景の中から、どれだけ珠玉の一瞬を引き出してくれば気が済むのだろう。
内容としては、日常生活のこと、逸話、人生論、芸術論といったようなのが多い。正につれづれなるままに心に浮かんだよしなしごとを自由気ままに書きつけてくれちゃっている。それぞれ味わい深いが、中でも人生論は全く古びていない。現代でも十分に通用するライフハックが満載である。高校の時にイヤイヤ読まされた章もチラホラ見受けられ、「こんないいこと言っていたのか!」と今更ながら頭が下がる。
やはり、知識というのはある程度の量を越えてしまえば、それ自体の質というか、自分の頭で考える時間や空間をいかに有意義なものにしていくかが重要なのだろうと思う。
長いから引用はしないが、春夏秋冬と人間の生死の移り変わりを比較しているところなんて本当に素晴らしくて、「こいつただ者じゃない」と思わされる。自分の内面と向き合ってコツコツと思考を積み重ねていった哲学者がそこにいるのだなと感じた。
《万の事、外にむきて求むべからず、ただここもとを正しくすべし。》
すべて何事も、外に向かって求めてはならない。ただ自分の身近なところを正しくすればいい。